樹切削加工とは?

樹脂切削加工とは?
樹脂切削加工は、プラスチックや樹脂を、切削工具を用いて目的の形状にする加工です。金属加工と基本原理は共通しているものの、プラスチックや樹脂の特性上、例えば熱伝導率の低さや軟らかさなどを考慮した、独自のノウハウと技術が求められます。
樹脂の加工方法は、樹脂切削の他にも、射出成形や3Dプリンターなどがありますが、その中でも樹脂切削は、複雑な形状や微細構造を高精度に加工することができます。そのため、樹脂切削によって加工された製品は、自動車部品、医療用部品、電子機器部品など、幅広い分野で仕様されています。
樹脂切削加工の特徴
樹脂切削加工には、上述の射出成形や3Dプリンターの造形とは異なる以下の特徴があります。
①設計自由度が高い
切削加工は、射出成形・3Dプリンターでの造形と比較して、比較的自由に形状設計が可能です。複雑形状も切削加工で実現できます。
②高精度加工が可能
NC工作機械を用いた加工により、ミクロン単位の寸法精度で加工することが可能です。嵌合部品や精密機器の部品など、高い精度が要求される用途に適しています。また、切削条件や切削工具の選定によって、表面粗さまで細かく調整することも可能です。
③様々な材質に対応可能
樹脂切削加工では、汎用プラスチック、エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックや熱硬化性樹脂など多種多様な樹脂材料を加工することができます。
④低コスト・短納期が実現可能
射出成形では金型が必要ですが、樹脂切削加工では必要がないため、少量生産や試作品製作においては、イニシャルコストを抑えることができます。また、金型製作の時間を要しないため、設計変更への対応が比較的容易であり、短納期での製品提供が可能です。
樹脂切削加工の加工方法
樹脂の切削加工方法は、金属の切削加工とほとんど変わりません。下記に代表的な加工方法をご紹介いたします。
①フライス加工
多様な形状に対応でき、平面削り、溝削り、ポケット加工、輪郭加工、ねじ切りなど、幅広い加工が可能です。また、複雑形状も高精度に加工でき、自動車部品(内装部品、外装部品)、医療機器部品(筐体、治具)、電子機器部品(コネクタ、ケース)、試作品製作などに使用されます。
②旋盤加工
回転する工作物に刃物を当てるため、主に円筒形状や円盤形状の部品加工に適しています。外径削り、内径削り、端面削り、溝入れ、ねじ切りなどの加工が可能で、より複雑な形状の加工も一台で完結できます。旋盤加工で製作された部品は、軸、シャフト、カラー、ブッシュ、Oリング溝加工、円筒状の医療機器部品などに使用されます。
③穴あけ・タッピング加工
穴あけ加工はドリルやリーマなどの回転工具を用いて、工作物に穴を開ける加工です。深穴加工や精密な穴径が求められる場合には、専用の工具や加工方法が用いられます。タッピング加工はめねじを形成する加工で、穴あけ加工後にハンドタップやマシニングセンタに取り付けたタップ工具を用いて加工を行います。樹脂の種類によっては、セルフタッピングねじを用いることもあります。
これらの加工方法は、製品の形状、精度要求、材質、生産量などに応じて適切に選択されます。また、複数の加工方法を組み合わせることで、より複雑な機能を持つ部品を製作することも可能です。
樹脂切削加工の注意点
樹脂切削加工では、金属の切削加工とは異なる注意点がございます。
まず挙げられるのが、「熱の発生」です。樹脂は一般的に熱伝導率が低いため、切削時に発生する熱が切削工具や工作物に蓄積しやすい傾向があります。これにより、樹脂の溶融や変形を引き起こします。また切子を適切に処理しないと切子が熱で溶け、切削工具にこびりつくこともあります。そのため、適切な切削速度、送り速度設定などにより、発熱を抑制する必要があります。
また、樹脂は「バリが発生しやすい」という特徴があります。樹脂は金属と比較して、剛性が低く柔らかいため、バリが発生しやすい他、上述のように熱にによる切子の付着もバリの発生要因となります。用途によってはバリ処理が肝要になることもあるため、機械処理では不十分な場合は、手作業によりバリ処理を行うなどの対策も必要です。
樹脂切削加工で用いられる素材
①汎用プラスチック
汎用プラスチックは、比較的安価かつ大量生産されている、日常生活で広く使用されるプラスチック素材です。代表的なものに、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、塩化ビニル(PVC)、アクリル、ABSがあります。
②エンジニアリングプラスチック
エンジニアリングプラスチックは、機械的強度や耐熱性などに優れた特性を有する高機能なプラスチック素材です。比較的高価で、主に工業用途や精密機器などに使用されます。代表的なものに、PA(MCナイロン)、POM(ジュラコン)ポリカーボネート(PC)、PBT、PET、超高分子量ポリエチレンがあります。
③スーパーエンジニアリングプラスチック
スーパーエンジニアリングプラスチックは、エンジニアリングプラスチックの中でも特に高い耐熱性や優れた耐久性など高性能を誇る高機能プラスチック素材です。特殊用途や負荷がかかる環境下で使用されます。代表的なものに、PEEK、フッ素樹脂(PVDF)、PPS、PI(べスペル)、PAI、PEI(ウルテム)があります。
上記の他、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂も樹脂切削で加工されます。
樹脂の切削加工は、F・Sエンジニアリングにお任せください!
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