AE素材への材料変更による導電性樹脂の品薄対策
お客様からご相談いただいた内容
こちらの部品は、真空吸着式ピックアップ用ノズルで、従来から導電性樹脂「セミトロンESd」で製作をしていました。
導電性樹脂「セミトロンESd」は安定した帯電防止性能と加工性により、精密部品の製造に適した材料です。しかし、近年の市場動向や複合的な要因により、メーカー側の生産量が減少、安定的な仕入れが困難な状況になっていました。

提案内容・解決策
そこで当社から、代替素材として、東レ製の「AE素材」を提案いたしました。AE素材は、導電性を付与したポリアセタール樹脂であり、優れた機械強度・寸法安定性・加工性を保持しながら、静電気対策が可能な高機能材料です。特に精密機器や電子部品の搬送・保持用途において、安定した性能を発揮します。
画像は左のクリーム色部品が「セミトロンESd」、右の黒色部品が「AE材(POMベース)」です。色味は全く異なってしまいますが、機能面・加工性・供給安定性の観点から、AE素材は十分に代替え可能であり、今後の安定運用が期待できます。
※「AE」は Advanced Engineering の略とされ、高機能・高性能なエンジニアリングプラスチック群を示すブランド記号です。特に電気特性(導電性・帯電防止性)を持つグレードや、耐熱・耐薬品性に優れた素材に付けられることが多く、精密機器・半導体・医療分野などの要求水準が高い用途向けに設計されています。
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