PFAS規制とフッ素樹脂の影響とは?切削加工における代替素材選定のポイント
環境規制の強化により、PFAS(有機フッ素化合物)規制が急速に広がっています。これに伴い、フッ素樹脂(テフロン™、PTFE、PFA、FEPなど)の使用や選定を見直す動きが、製造業や装置業界で高まっています。
本記事では、PFAS規制の基本から、設計時に知っておくべき代替素材、切削加工時の注意点まで、詳しく解説いたします。
PFAS規制とは?
PFAS(Per- and Polyfluoroalkyl Substances)は、有機フッ素化合物の総称で、テフロン™(PTFE)をはじめとする多くのフッ素樹脂がこの対象に含まれます。
PFASは、以下の理由で規制対象となっています。
- 環境中で極めて分解されにくく、長期間残留する
- 人体や生態系への悪影響が懸念されている
- 一部のPFASが発がん性・生殖毒性を持つと指摘
そのため、欧州、米国、そして日本でも規制強化の動きが加速しています。
PFAS規制の動向とフッ素樹脂への影響
現在、PFAS規制は段階的に進められており、以下のような動きがみられます。
表1. PFAS規制に対する各国の動向
地域 | 規制状況 |
欧州 | REACH規制でPFAS全面禁止の提案が進行中(2025年〜) |
米国 | 州ごとに厳格な規制。カリフォルニア州では一部製品で禁止 |
日本 | 一部PFASの製造・輸入規制。今後拡大の可能性大 |
こうした動きから、従来使用していたフッ素樹脂(テフロン™、PFA、FEPなど)が、調達や設計上の制約を受けるケースが増えています。さらに、エンドユーザーからPFASフリーの要望が出されることもあり、調達コストや設計自由度にも影響が出始めています。
PFAS規制が樹脂切削加工に与える影響とは?
フッ素樹脂は、切削加工でも頻繁に使用される素材です。フッ素樹脂の種類にもよりますが、一般的に以下のような用途で広く採用されてきました。
- 半導体装置の配管部品
- 食品製造装置のガイド・滑り部品
- 薬品処理ラインのバルブ・パッキン
これらは、フッ素樹脂特有の「耐薬品性」「耐熱性」「低摩擦性」「絶縁性」といった特徴から使用されています。しかしPFAS規制により、これら部品をフッ素樹脂以外で実現する必要性が生まれています。
設計変更において重要なのは、「どの性能を最優先するか」です。性能とコストのバランスを考慮し、代替素材選びを行うことが不可欠です。
用途・性能別 代替素材の選び方
規制によりフッ素樹脂の使用が難しくなる場合、目的や性能に応じて適切な代替樹脂を選定することが大切です。以下に、用途別の代表的な代替素材をまとめております。
表2. 用途・性能別 代替素材の選び方
重視する性能 | 代替素材 | 特徴と適用例 |
耐薬品性 | PP(ポリプロピレン) | 塩素系や酸・アルカリに強く、安価。化学薬品装置向き |
耐熱性・機械的強度 | PEEK(ポリエーテルエーテルケトン) | 最高クラスの耐熱・機械強度・耐薬品性。医療・半導体分野 |
滑り・摺動性 | UHMW-PE(超高分子量ポリエチレン) | 低摩擦・耐摩耗性が高く、搬送装置などに最適 |
コスト重視 | PVC(塩ビ) | 耐候性があり、価格を抑えたい場合に有効 |
絶縁性 | PEEK・PP | 高絶縁性が求められる電子機器部品向き |
代替材選定は、使用環境・温度・荷重・摩擦・コストなどを総合的に判断する必要があります。
設計段階での材料相談は、製品の品質・寿命に大きく関わりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
樹脂の切削加工は、樹脂・プラスチック 切削加工ラボにお任せください!
いかがでしたでしょうか。今回は樹脂の切削加工におけるPFAS規制の影響と代替素材について、ご紹介いたしました。
当社では、フッ素樹脂をはじめとする各種樹脂製品の特性と加工ノウハウを熟知したプロフェッショナルが、図面段階からのご相談にも対応いたします。樹脂の切削加工でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。