【設計担当者必見】医療分野向けのPEEKとは?

PEEKは、エンジニアリングプラスチックの中でも、医療機器分野で特に高い評価を受けている高機能樹脂です。医療分野向けに採用されるPEEKの切削加工では、材料グレードの選定、トレーサビリティ、加工環境、洗浄・梱包まで含めた品質管理が強く求められます。
そこで本記事では、医療分野でPEEKが選ばれる理由から、押さえるべき重要ポイントまでを分かりやすく解説します。
医療機器分野で求められるPEEKの特徴
医療用途においてPEEKが採用される最大の理由は、「高機能であること」に加え、下記のような長期使用・人体接触を前提とした安全性と安定性にあります。
①生体適合性が高く、人体への影響が極めて少ない
医療分野で使用されるPEEKは、ISO10993などの生体適合性評価を前提に管理された材料であり、体内・体外を問わず安心して使用できます。インプラントや手術器具部品などでも採用されます。
②長期間使用しても物性変化が起きにくい
PEEKは加水分解や経年劣化に強く、長期使用環境でも機械特性が安定しています。医療機器に求められる信頼性の面で大きなメリットがあります。
③繰り返し荷重・摺動に耐える高い機械強度を有する
疲労特性や耐摩耗性に優れており、可動部や繰り返し使用される部品にも適しています。
④摩耗粉の発生が少なく、周辺部品へ悪影響を与えにくい
摩耗粉の発生が抑えられるため、医療機器内部での異物リスク低減につながります。
⑤高温環境・オートクレーブ滅菌に耐える耐熱性を有する
PEEKは連続使用温度が高く、オートクレーブ滅菌や高温洗浄にも耐えられる点が、医療用途で評価されています。
⑥優れた耐薬品性で、洗浄薬品・消毒薬に対して安定している
アルコール、消毒薬、洗浄剤に対しても安定しており、薬剤を使用したメンテナンスが必要な機器に対しても採用されます。
⑦X線透過性が高く、画像診断を阻害しない
金属と異なりX線を透過するため、CT・X線検査時の視認性を確保できます。
⑧軽量・非磁性で金属からの代替に適している
MRI対応機器や軽量化が求められる装置において、金属代替材料としてPEEKは採用されています。
医療分野で使用されるPEEKの注意点
医療分野向けPEEKの切削加工では、「削れるかどうか」ではなく、「医療用途として成立するか」が判断基準になります。そのため、下記点に注意し、加工体制・管理体制が整った企業へ依頼する必要があります。
①切削加工時の切粉・油分残留リスク・異物混入を防ぐ体制が整備された企業へ依頼する
加工環境、保管方法、搬送時の管理まで含めて品質と捉える必要があります。特に、切削油や切粉の残留は、医療機器において重大な品質リスクとなりますので、加工条件の最適化と後工程管理が重要です。またこうした医療向けPEEKの切削加工は、洗浄・乾燥・個別梱包まで含めて評価されます。
②トレーサビリティ確保し、管理体制を整備する
原材料のロット管理ができていないPEEKは、医療用途では使用できない恐れがあります。したがって、設計・品質部門から求められる材料証明、グレード証明、適合資料の提出に対応できる体制が求められます。
③特に安全性が求められる場合、医療グレードPEEKを使用する
一般的なPEEKでも医療分野で幅広く採用されていますが、特に安全性が求められる用途(人体への影響を考慮する場合)では、下記のような医療グレードとして流通・管理された材料の使用を推奨します。
医療機器向けPEEKの代表的グレード例
ここまでご紹介したように、PEEKは医療用途に適した特性を有しています。ただし、それとは別に、医療用PEEKとして、医療機器向けPEEKグレードもございます。この、医療機器向けPEEKグレード主に下記のような特徴があります。
- 高温環境下でも優れた機械特性
- 非常に高い耐薬品性
- 優れた滅菌処理耐性(オートクレーブ、ガンマ線など)
- 良好な耐放射線性
- 高いストレスクラック耐性
- 優れた寸法安定性
したがって、用途や求める性能によっては、こうした医療機器向けPEEKグレードを検討することも求められます。
出典:エンズィンガージャパン株式会社 医療用PEEKグレード TECAPEEK MT
https://www.ensingerplastics.com/ja-jp/shapes/biocompatible-medical-grade/peek
PEEKの医療用途向け加工事例
事例①:医療機器用端子台PEEK

こちらは、医療機器で使用される端子台です。耐薬品性の観点から、PEEKを使用しています。
ポケット部が±0.03と、厳しい公差が求められていたので、反りの影響を受けないように、加工条件を工夫して加工をしています。
事例②:医療機器用カバー

こちらは、医療機器の一部として採用されているPEEK製カバーです。医療分野では、使用される部品に高い安全性と信頼性が求められます。PEEKは高強度である反面、切削加工では課題も伴います。特に細長い形状や薄肉部では、加工中の熱や応力により変形(反り)が発生しやすい傾向があります。当社では、クランプ方法の工夫、多段階での加工プロセス、切削条件の最適化といった対策を講じることで、精度と安定性を確保した加工を実現しています。
医療機器向けPEEKの切削加工は、F・S・エンジニアリングにお任せください!
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