塩ビ・アクリルの選定・使い分けのポイント
適切な樹脂材料の選定は、製品の品質、コスト、そして納期(QCD)に大きく影響します。その中でも、塩ビ(PVC)とアクリル(PMMA)は、多くの場面で共通の用途に使われるため、「どちらを選べば良いのか」と迷われる設計担当者様も多いのではないでしょうか。
塩ビとアクリルは、一見同じような用途で使われますが、耐候性、耐薬品性、コスト、そして難燃性といった主要特性において明確な違いがあります。
そこで本記事では、塩ビとアクリルの基本的な特性を比較しながら、設計・開発の現場でどのように使い分けるべきか、具体的な判断基準を解説いたします。
塩ビ(PVC)・アクリル(PMMA)の特性比較
塩化ビニルとアクリルは、それぞれ異なる特性を持っており、用途に応じてその強みが発揮されます。塩ビは、比較的安価、耐薬品性、耐候性、難燃性に優れるといった特性があり、アクリルは透明性、意匠性、屋外耐候性に優れるといった特長があります。
表1. 塩ビ・アクリルの特性比較
| 特性 | 塩化ビニル (PVC) | アクリル (PMMA) |
| 透明性・意匠性 | 透明/半透明/不透明(グレードによる) | 非常に高い(ガラスを上回ることも) |
| 価格 | 比較的安価(PMMAより安価) | PVCより高価 |
| 耐薬品性 | 良好(酸、アルカリに強い) | 弱い(アルコール、有機溶剤に弱い) |
| 耐候性 | 良好(安定剤添加により) | 非常に良好(屋外使用に適する) |
| 燃焼性 | 自己消火性がある(難燃性) | 可燃性(燃えやすい) |
| 耐衝撃性 | 良好〜高い(特に軟質PVC) | やや低い(PVCより劣る) |
| 表面硬度 | やや低い〜中程度 | 高い(傷つきにくい) |
| 加工性 | 非常に良好(切断、接着、溶接、成形が容易) | 良好(切断、接着、曲げ加工は容易。溶接は不可) |
塩ビ(PVC)・アクリル(PMMA)の用途
塩ビとアクリルは、両方とも以下の用途・場面で広く活用されています。
①カバー・保護板:機械の安全カバー、防護シールド、掲示物の表面保護板など。
②サイン・ディスプレイ:屋内・屋外の看板、案内板、POP広告、陳列ケースなど。
③パイプ・ダクト:液体・気体の移送、配管のカバー、工場内の局所排気ダクトなど。
④筐体・窓材:計測機器の窓、制御盤の透明カバー、簡単なボックス筐体など。
これらの用途では、部品に「透明性」や「保護機能」が求められるため、どちらの素材も候補に挙がります。
塩ビ・アクリル(PMMA)の使い分けポイント
前項では、塩ビ・アクリルの用途をご紹介しましたが、その中でも具体的にどのように両材質を使い分ければ良いのかについて、その判断基準をご紹介いたします。
ポイント①:安全性(難燃性・強度)優先の場合は、塩ビを使用する
塩ビは自己消火性を持つ難燃性樹脂であり、内装材や電気機器周辺のカバーなど、安全基準をクリアする必要がある場合に、追加工のコストや工数を削減できます。
また、耐衝撃性や強度が必要な場合(頻繁に人や物が接触する安全カバーなど)も、アクリルが割れやすいリスクを考慮し、塩ビが選定されます。
ポイント②:複雑形状やコスト優先の場合は、塩ビを使用する
複雑な箱状や立体構造を持つ部品を製作する場合、塩ビは加工をしやすく、大型の一体構造でも高い生産性で製造できます。また、コストパフォーマンスを最優先する場合や、量産案件では、単価の安い塩ビが採用される場合が多いです。
ポイント③:耐候性が求められる(屋外使用など)場合、アクリルを使用する
アクリルは非常に良好な耐候性を持つため、長期的な変色や劣化を防ぎたい屋外用途に最適です。
一方、塩ビも安定剤添加により耐候性を持ちますが、グレードによっては数年で黄変や劣化のリスクがあるため、長期の屋外使用では信頼性に劣ります。ただし、着色されていて透明度が問われない短期的な屋外用途であれば、コストメリットを活かして採用されます。
ポイント④:透明性・美観性を重視する場合、アクリルを使用する
水槽や展示ケースなどの透明度や美観性が求められる場合にはアクリルが使用されます。ただし、機能優先で中身を見せる程度であれば、塩ビを使用することもあります。
塩ビ・アクリル(PMMA)の製品事例
塩ビ:スペーサー

塩ビは、切粉が分断されにくく、加工中に工具へ巻き付くリスクがあります。そのため、溶着や母材の損傷につながる可能性があるため、適切な対策が不可欠です。
そこで、最適な回転数と送り速度を綿密に調整し、さらにエアブローを活用した切粉の効率的な除去を組み合わせることで、安定した高精度加工を実現しています。
アクリル:試験装置のチャンバー用部品

本製品は試験装置に使用されるアクリル製のチャンバー用部品です。
アクリルの耐熱性は90℃弱とそれほど高くはないですが、耐寒性が高く、マイナス40℃前後まで適応することが可能です。本製品も低温環境下で使用されるチャンバーへの組み込み部品として使用されます。透明性に加え、高い気圧にも強いため、内部の状態を観察しながら真空にするなどの試験装置にも最適といえます。
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本記事では、「塩ビ・アクリルの選定・使い分けのポイント」をお伝えいたしました。今回ご紹介をした塩ビ・アクリルの選定を含め、当社では、材料特性や適切な加工条件を考慮した切削加工を行っており、試作から量産まで高品質な樹脂製品の製作が可能です。
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