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MCナイロンとよく比較される材質とは?

MCナイロンは、その優れた機械的強度、耐摩耗性、そして加工性の良さから、ギアやガイド、ベアリングといった機械部品の素材として広く使用されています。そのため、摺動部品や構造部品の材質選定を考える際、まずMCナイロンを思い浮かべる設計担当者様も多いのではないでしょうか。

しかし、設計要件は多様化しており、MCナイロンだけでは対応できない問題に直面することがあります。例えば、コストダウンが必須な場合や、MCナイロンの吸水性の高さが原因で寸法安定性に問題が生じる場合、あるいはMCナイロンの耐熱性では対応できない厳しい環境での使用が求められる場合などです。

そこで本記事では、MCナイロンを採用すべき基準と、コスト、強度、環境の観点から、どのような代替素材を検討すべきかについて詳しく解説いたします。

MCナイロンからの代替素材を検討する必要がある場合

MCナイロンとよく比較される代替材質について、コスト面、強度面、環境面における具体的な代替素材とその特徴を解説いたします。

①コスト面で代替素材を検討する場合

MCナイロンの採用を検討しているが、摺動性や耐熱性などの機能性よりも、コストダウンが最優先事項である場合は、下記の代替素材を検討します。

表1. コスト面で代替素材を検討する場合

材質特徴とMCナイロンとの比較主な用途例
ポリアセタール(POM)MCナイロンより安価で加工性が良く、機械的強度、剛性、耐疲労性に優れます。吸水性が低く、寸法安定性が高いですが、MCナイロンに比べて耐摩耗性や耐熱性が劣ります。ギア、ベアリング、ローラー、スライド部品(一般産業機械)
超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)MCナイロンより安価で、自己潤滑性(摺動性)が非常に高いのが特徴です。非常に軽量で耐衝撃性・耐摩耗性に優れますが、強度はMCナイロンに比べて劣ります。ホッパーの内張り、ガイドレール、摩耗板(食品・搬送機械)
ポリエチレン(PE)最も安価な汎用プラスチックの一つです。耐薬品性に優れますが、強度、耐熱性、剛性はMCナイロンと比較して大幅に劣るため、簡易的な用途に限定されます。
緩衝材、パイプ、簡易カバー

上記表. 1より、コストダウンを優先しつつ、吸水による寸法変化を防ぎたい場合はPOM、高い摺動性を最優先する場合はUHMW-PE が、MCナイロンの代替として有力な候補となります。

②強度面で代替素材を検討する場合

剛性、耐熱性などの強度面の機能性が求められる場合、MCナイロンよりも高機能なスーパーエンジニアリングプラスチックが検討されます。

表2. 強度面で代替素材を検討する場合

材質特徴とMCナイロンとの比較主な用途例
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)最高の耐熱性・耐薬品性・強度・剛性を持つスーパーエンプラの一つです。MCナイロンをはるかに凌駕しますが、非常に高価な材質です医療機器部品、化学プラント部品、自動車エンジン周辺部品
ガラス繊維入りPPS (PPS G-R)耐熱性と耐薬品性が極めて高く、MCナイロンをはるかに上回る耐熱性(200℃以上)を持ち、ほとんど吸水しないという特徴があります。また非常に硬く、剛性が高いといった性質もあります。自動車のエンジン周辺部品、電気・電子部品、化学プラント用ポンプ部品
ポリアミドイミド(PAI)耐熱性、強度、剛性、耐摩耗性が非常に高いです。MCナイロンでは対応できない高温・高負荷環境で使用されます。一方で、非常に高価で加工が難しいという特徴があります。航空宇宙部品、半導体製造装置部品、高温環境下の摺動部品

MCナイロンで解決ができない耐熱性や吸水性による問題は、PEEKやPPSといったスーパーエンプラで解決できる可能性が高いです。

③環境面で代替素材を検討する場合

MCナイロンと同等以上の機能性を保ちつつ、石油資源の使用削減、または製品の長寿命化・使用時エネルギー削減による環境負荷低減を追求する場合には、下記表3のような代替素材を検討します。

表3. 環境面で代替素材を検討する場合

材質MCナイロンとの比較環境面でのメリット代替素材検討場面
PEEK / PPSMCナイロンを凌駕する極めて高い耐熱性、強度、剛性があります。価格は非常に高価です。製品寿命が極めて長く、過酷な環境下でも長期間交換が不要です。LCA視点で、交換頻度削減による資源消費を抑制します。頻繁な交換が環境負荷となる重要部品、メンテナンスコストが高い設備(高温度・高腐食環境)。
バイオマス・ポリアミド (PA11 / PA1010)PA6/MCナイロンと同系統の物性を有し、耐衝撃性、柔軟性、耐薬品性に優れます。植物由来の原料(ひまし油など)を使用しており、石油資源の消費削減と CO2排出量の削減に貢献する素材です。環境規制対応が必須、サステナビリティ調達を求められる自動車、電子機器、医療機器部品。
炭素繊維強化プラスチック (CFRP)強度・剛性が非常に高いです。一方で、MCナイロンよりもはるかに高価です。自動車・航空機部品の大幅な軽量化を実現し、走行時・運用時の燃費(エネルギー)消費を削減します。製品の使用段階でのCO2排出削減に貢献します。重量削減が最も環境貢献に直結する輸送機器や高効率機械の部品。

MCナイロンからの代替素材の提案例

事例:PEEKへの材料変更による不良品の抑制

MCナイロン製の電子部品用プレートで、吸水性による寸法不安定で不良品が多発し、コスト増につながっていました。そこで、当社は吸水性が極めて低いPEEK材への変更を提案。  PEEKの採用により、厚み公差(±0.02)を安定させることができ、不良品の削減と歩留まりの向上を実現しました。

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